約束しましょう。
何があっても守り抜く、と。
交わした血戯り、灰になるまでといわず…死に眠るまで。
己の小指の皮を噛み切って、血を流した。
目前の未だ幼いその少年も、父に倣って相対するように自分が傷つけた方と反対の小指を傷つけた。
紅い、紅い血が流れる。
少年は小指の痛みに涙を浮かべていた。
仕方の無い事だった。
小指の傷は随分深いし、少年は転んだだけで泣くようなそんな年齢。
むしろ泣き喚かないほうが不思議なくらいで。
彼はただじっと、コチラのほうを強く見ていた。
「始めよう…」
「はい」
少年の父―――自分の師匠は、ゆっくりと言った。
跪き、少年に頭を下げて一礼。目線を彼より低くし、顔を見上げる。
少年の後ろには師匠が立っていたが、それをこして冷然と太陽が見えた。
時刻は深夜も良いところだというのに、月は太陽光にかき消されて。
そっと、少年の手…小指が眼前に差し出される。
滴る血が痛々しかったが迷わず自分は傷口へと舌を這わせていた。
その後、自分の傷を舐めて血を拭う。
当然血は止まっていないが傷上で珠となって、今にも零れ滴る時を待っているようだった。
無言で傷のついた小指同士を絡ませた。
血の珠は零れ、指を紅く染める。
「誓いましょう…たとえ一時は彼方に忘れ去られようと、憎まれてしまおうと」
純粋な瞳を覗く。
酷く不安げな色をしていた。
「貴方の為に尽くすことを、誓いましょう」
約束しましょう。
何があっても守り抜く、と。
交わした契り、死に眠るまでといわず…魂もが、消え尽きるまで。
幼い紫暗の瞳は、まっすぐ、自分を見ていた。
A pledge of relief
―――――そして、始まる。