自分への御題>鬼さんこちら。
鬼さんこちら手の鳴る方へ♪
嗚呼、お前もそうやって囃し立てるのか。
ヒトが陰鬱な気分になる事も知らないで。
鬼さんこちら、偏見と差別の遊びの合言葉。
そして、俺が忌み嫌う戯れ。
鬼は誰?
クスクス無邪気な笑みを浮かべて、残酷な問いを投げつける。
…鬼は俺。
俺は―――鬼。
そういう、一族だから。
鬼は人間を襲わなきゃいけないんだよ?
また、残酷な問い。
そんなものは昔の偏見で。
だから、オレを追いかけて?
オレを捕まえて??
純粋な瞳で、俺を覗き込んだ。
理解していないだろう、本当の意味を?
いうと、お前は笑って、食べちゃうんでしょ?鬼は人間を。と、気楽に言った。
違う。鬼は人間など食べない。それは単なる隠語だ。
そういいたいのに、唇は…ああ、と同意の言葉を形にした。
それはちょっとした、悪戯心。
ヒトの機嫌を損ねさせてくれた、お前のすこし驚く顔が見たかった、それだけだったのに。
えーっ、人間って食べれるんだっ!凄いねっ、美味しいのかなぁ??
吃驚としたというよりは感心した表情を浮かべて、また笑った。
他人とずれた感覚の持ち主だと忘れていたのを思い出した。
ココは驚くか退くかするところだろう…?
だというのに、興味津々といった感じで話しかけてくる。
じゃぁさっ、バジルも食べるの?
…勿論、と言ったらどうする?お前も食ってしまうかも知れんぞ?
お前の反応に苦笑しながら、再度嘘をつく。
一瞬だけ、きょとんとした姿が網膜に届いた。
けれど、次の瞬間には酷く甘い笑みが飛び込んできて。
バジルだったら良いよ?
その言葉に、思いがけず血が高騰する。
ああ、やはりお前は馬鹿で阿呆だな。
自分で意味が解らないことを口になんかするから…こんな目に遭うんだ。
わっ、なんだよバジル!重いって!!
挑発したお前が悪い。喰ってやる。お望み通りにな。
押し倒して、耳元で囁く。
バタバタと暴れる力を押さえつけて、馬乗りになって。
挑発ってなんだよ!?わけかんないよ…やめっ、バジル…ッ
鬼さんこちらといっただろう?
俺は誘われただけだ、全部身から出た錆だな。今後気をつけるが良い。
本気でー…ッ!?
鬼さんコチラ、偏見と差別の遊び。
嫌いな言葉が、少し好きになるときもある。